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異種族のロールプレイ:トロウルの場合


異種族のロールプレイについて考えてみる。


「異種族 ロールプレイ」でググってみたけど、あまり記事はないみたいですね。
需要はないのかもしれん(笑)。


んで、個人的に考えてみた指針ですが……


1.「種族の行動原則」をまとめてみる。
2.「五感の違い」を把握してプレゼンする。
3.「できないこと」を強調する。
4.「できること」(ルール的に)でゲームに貢献する。
5.「考え方の違い」を状況的に「おもしろく」演出する。
6. でも「プレイの原則」を守る:テーブルを不快にさせない。


ぐらいでしょうか。



1.「種族の行動原則」をまとめてみる。

種族の設定からまとめられますね。良いRPG資料では、こういう情報がちゃんとまとまっています。これがないと、ロールプレイの基礎ができないでしょう。トロウルの場合であれば、

  • 食欲を満たすこと。とにかくいつも腹ペコだ。
  • 生殖。生殖能力が弱いので、メスは大事にされる。というか、オスはメスに使われる消耗財あつかいだ。
  • 混沌を殺す。暗黒と混沌は不倶戴天の敵だ。そのためなら光の神々とだって(嫌々ながら)手を結ぶ。
  • 3つの神話の宝を探す。とくに「歌」をあつめる。

という具合にまとめられています。
この「混沌を殺す」という目的があるため、オーランス人や、光の神イェルマリオとも共闘でき、プレイしやすい異種族だということになっているのかもしれません。

2.「五感の違い」を把握してプレゼンする

せっかく異種族をプレイするのだし、ルール的にも「その異種族だとこういう違いがある」という設定があるはずなので、それを把握しておくということですね。トロウルの場合であればダークセンスだし、エルフの場合はエルフセンス。行動レベルでどうなるか、まで落としてまとめておくとよいでしょう。トロウルの場合は、まずソナー(ダークセンス)で探るとか、そうするとこういうことが分かるだとか(ソナーなので、素材が何かだとか距離とかも分かります。ただし色はわからない)。味覚は、「腐った魚の味を楽しむことができる」らしい。

3.「できないこと」を強調する

逆説的ですが、「何ができないか」を強調することで異種族感(へんな造語だ)を出せるのではないかと思います。たとえば、トロウルであれば、目が見えないし、あんまり日中は出歩きたくないし、火と太陽と熱は基本的にイヤだし、お腹が減ってくればなんでも食べざるを得ない。人間との違いはどこか、ということを強調する。

4.「できること」(ルール的に)でゲームに貢献する

「できること」はだいたいルール的に優位な点として設定されているので、それがパーティの中でどう戦略的に生かすことができるかを考えて行動するということです。これはあんまり難しくない。

5.「考え方の違い」を状況的に「おもしろく」演出する

状況において普通の人間じゃないことを演出できないか考えてロールプレイするということですね。酒場にいって料理を出されたら、皿まで食べてしまって「ん? これは食ったらいかんのか?」と言ってみるとか(笑)。文化的な違いで、お供のトロウルキンをおやつに食べてしまうとか。

6.でも「プレイの原則」を守る

以上のような点を踏まえながら、他のプレイヤーの不快になるようなことはしない、ということです。トロウルだからといって、事件の重要NPCをいきなり食べたりしてはいけません(笑)。あと、トロウルだからといってプレイヤーが乱暴にふるまう必要はありません。大声で叫ぶとか、つかみかかるだとか。まあ、いないと思いますが。
エルフだからといって、いきなりシナリオの中で「森にいってアルドリアと交信してきます」と、シナリオを放棄してはいけないということです。って、「Glorantha: the Second Age」ではそれが推奨されていたんだが。それはどうよと思った(笑)。
グローランサのオーガもなかなか楽しい種族なのですが、本気でロールプレイすると人食いを演じなければいけないので難しいのです(笑)。混沌だし。というわけで、この6.に抵触するため、美人で強いんだけど、オーガはPC向けではないのです。



以上のような点をふまえて、参考となるトロウル情報をピックアップしてみます。

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ダークセンスは視力ではない

 ウズの“ダークセンス”(訳注:ソナーなどを使ったトロウル固有の知覚能力)は普通は「視力」として扱われ、捨ておかれている。しかし、人間が視力を使っている事全ては、トロウルにとっては異なって“見え”ているのだ。ウズのダークセンスは確かに特殊な能力であり、プレイに多大な影響を与えるだろう。

  • ウズが近づいてくる人間をみる場合、ウズはその人間を“見る”のではなく、その表面(皮膚)と骨格をほぼ同時に“感じて”いる。これはつまり、変装した人間でも、その人物を知ったウズにはだいたい同じにみえるということだ。ウズは表面の特徴以上のものをみているのである。
  • トロウルたちはいかなる意味においても人間とは異なった美的感覚を持っているが、ウズはよく“目が見えない”ことに留意せよ。美術品はダークセンスで判定されるのだ。ほとんどのウズにとって、絵画は無価値であり、彫刻が好まれる。他のものに対する評価も違っているかもしれない。黄金や銀に価値があろうか? ウズはその輝きに価値を置かない。彼らにとっては、鉛の方がダークセンスでは実際により好ましく感じられるのである。
  • ダークセンスでは視覚では不可能なことも可能だ。限定されてはいるが角を曲がった向こうを伺うことができ、ある人物の胃がいっぱいかどうか、女性が妊娠しているかどうか、薄い箱の中が空かいっぱいかを知り、非常に厳密な距離を測ることができる。ウズのソナーでどんなことができるのか考えるには、クジラやコウモリのソナーに関する本が非常にためになるだろう。

ウズは目がよく見えない


 ウズの貧弱な視力が問題を生じさせることも多いだろう。ウズは人間の書いた書物や地図を読むのに難渋する。ダークセンスではその材質を正確に知ることはできるが、紙に記されたインクを認めることはできないからだ。ウズは人間の言葉を読むことができない。代わりに、ウズは高い教育を受けた読み書きのできるエンロ(訳注:トロウルキン)を所有する。そうしたエンロが自分自身について考え始めるのも無理はなかろう!


 また同様に、ウズは色を認識できない(赤色を除いて)。アーガン・アーガーの商人がひどい格好をしているように見えても、彼らは衣服を色ではなく材質で選んでおり、そのため様々な色彩を使った服を着ているのかもしれないということを考えてみる必要がある。一方、色ではなく服の材質を観るウズたちにしてみれば、人間たちは信じられないほどみすぼらしい格好をしているように思えるのかもしれない。


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 これらはみな、隠蔽を施す際に影響する。なぜなら、彼らは自然と自分の感覚で考えるからだ。ウズの狩人や戦士が忍び寄るのには非常に長けているが、身を隠すのは得意でないのはこのためである。ウズは、通常人間たちが何を探すかが分からないのだ。彼らは視力でどう見えているのか確定する技術を持たない。だが逆に、人間たちは普通、ダークセンスからどうやって身を隠すのかよく分からないという事もいえるだろう。枝と芝で注意深く作られた落とし穴も、ウズにはダークセンスによって表面の傾きや材質からひどく場違いなもののようにみえるかもしれない。

ウズは音が嫌い


 ウズは鋭敏な聴覚を持っており、彼らの生活はこれを反映している。多くは騒音を嫌うのである。人間の住む地入ったウズは、人間たちの騒々しい生活に愕然とするだろう(特に人間の都市に乗り込んでしまったりしたら)。騒音は必ずしも苦痛でないが、気が散ることである。ナレーターは、人間が無思慮に立てた騒音のためにウズの集中が切れたり、いらだったり、混乱したりする状況を考えることができるだろう。

ウズは動物に嫌われる


f:id:mallion:20170505213908j:plain:right 140キロの雑食性生物がそばにいれば、ほとんどの動物は驚くものだ。人間の土地にいる一般的なウズは、唸る犬、逃げまどう馬、恐怖におびえる家畜などに絶えず直面することだろう。人間のパーティに加わったウズは地域のコミュニティにとって恒常的な面倒の種となる。ウズは全ての動物を動揺させるからだ。ウズたち自身は、ほとんど家禽には注意を払わない。彼らは犬や馬やら何やらは、臭くて不快な動物で、なめらかな外皮の甲虫たちや頭のよいムカデたち、賢い蜘蛛たちなどには及びもつかないと考えている。


恐怖について


 ウズは人間たちの持つ恐怖症とは無縁だ。結局、彼らは完全な暗黒の中に生息し、狭い洞窟で生活し、服の下に虫を這わせる種族なのだ。


 ではウズが恐怖するものは何だろう? 一般的な恐怖症の対象として考えられるのは……太陽、光、熱と炎。母親、(雄にとって)姉妹や女性一般。開けた場所、空の見える場所。動物。雨、稲妻、雷鳴、嵐。大きな音、突然の音。見知らぬ魔術。ウズ以外一般、などなど。


 例えばこんなこともある。ウズは皆、空にある「炎の死」(訳注:太陽のこと)が滅びと衰退の原因となったことを知っている。従って、美しいウズが太陽光の下に出ていくのは陽光の惨害の危険を冒していることになる。魅力的なウズのヒーローたちは、日中の光の中に出ていくことで自分たちの容姿を危険にさらす(母親たちがそうしろ語るように)。またダメなウズはイェルムの炎の目の下で地表に出ていこうとしないのである。


 エンロたちは、もちろん、全てに怯える。

ウズは腹ぺこ


 これは自明のことだが、平均的なウズがどれほどの時間と努力を傾けて飲食物を口に運んでいるかという事を考えてみれば、肝を潰すかもしれない。たくさんのウズたちがニンゲンたち(訳注:hoomans。ウズが人間を馬鹿にしていう呼び方)のパーティに加わるのは不思議ではない。考えてみれば、トロウルたちには天国なのだ。

  • 殺したものは全部食べてもよい。
  • 人間たちのまわりにはうなるほど食べ物があるのに、彼らはその多くを食べようともしない――「その魚の頭は喰わないのか? 俺が喰っていいか?」「このエルフを喰いたい奴はいないか?」「ジャガベア(訳注:混沌の怪物)は毒じゃないぜ。見てな」
  • 金を稼ぐことができる。それで食べ物が買える。
  • この報償を争うべきトロウルはまわりにいない(あるいは、ほとんどいない)。


 ウズが人間と上手くやっている所では、食べ物が得られるという理由だけで、多くが傭兵や労働者、日雇いなどとして働いているのをみることができるだろう。トロウルの傭兵団(ターシュのトロウル兵団のような)に対する報酬の一部は追加の食料である。トロウルたちは食料のあまりを出したり蓄えたりはしない(そうする必要がないから)が、それを必ず報酬としてほしがるのだ。


 忘れてならないのは、何か役にたたないものがあって、それが美味しいなら、ウズはそれを食べてしまうということだ。実際、賢いウズはそれを利用して食べ物を得る機会をつかむ――この死体を隠す必要があるのか? ムシャムシャ。 余計な装備があって、捨てなくてはいけない? ムシャムシャ。(訳注:トロウルは鉄と火以外は何でも食える)

ウズのママはあばずれ


 残忍で意地悪く粗暴なカーグの息子も、部屋にその母親が入って来れば、苛烈な支配者からおべっか使いの奴隷根性な崇拝者に一変してしまう。これはそのウズが弱いというわけではなく、生まれたときから母親の気まぐれに服従するように訓練されてきたためである(訳注:ウズは生殖能力が低いため、女性優位で完全な母系社会を形成している)。人間のいる場でのウズは、故郷とは全く異なった行動を取るだろう。そこで、ウズのヒーローが自分の家族のところに戻れば“皆殺し”クラッグ/“敵喰らい”クラッグから、“床に頭をこすり付けてシクシク泣く”クラッグになってしまうかもしれない。


 ウズの母親とは冷酷で、陰謀家で、自己中心的な生物であり、息子たちを送り出して殺し、家族を支配し、完全な服従を要求する。これは彼女らが子供を愛していないわけではない。彼らは母親であることが支配者であることと等しい社会の一部であるということを意味しているのである。

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トロウルの食生活

 さて、読者諸兄の中には、トロウルと言うといつでもどこでも何でもかんでも食べると思われている方もいることだろう。その通りである。しかし、あえて私は言いたい、「悪いか!」と。グローランサの平和を守る仕事は腹が減るのだ。


 彼らは、まわりに何らかの動物(注.人間、エルフ、ドワーフ等を含む)や植物(注.エルフを含む)がある場合にはそれを、たとえなくても岩、石、その他、口にはいるものなら大概のものは食べてしまう。ただし、彼らに言わせると岩や石は、人間にとってのスナック菓子のようなもので、あくまで空腹時の腹の足しか、口ざみしいのを紛らわすためにしか食べないそうだ(注.トロウルの体には2系統の消化管があり、一方は石や岩などの無機物を消化するためのものになっている)。かといって、彼らがこの世にあるありとあらゆるものを食べられるかというと、いくら何でもそんなことはない。彼らが食べられないものもこの世にはちゃんと存在する。火と鉄である。もし、この2つを食べたならば、彼らの胃袋は焼けただれてしまうだろう。


 また、彼らのグルメぶりは有名なところである。彼らが最も好む食べ物は、もちろん個人によって違いはあるだろうが、エルフである。むしゃぶりついたときにジュッとにじみでる樹液のまろやかさ、肉と野菜が混然一体となったえもいわれぬ歯ざわりは、まさにこの世の至福とも言うべきものだそうだ。ちなみに、彼らはドワーフを口にすると酔っぱらってしまい、ドラゴニュートはパサパサしてあまりおいしくないそうだ。したがって、トロウル達への手土産には新鮮なエルフが一番だろう。


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 ところで、グローランサ広しといえども、レストラン(それもチェーン店)を持つ種族はトロウルのみであろう(この事実から、トロウルはグローランサで文化的に最も洗練された種族であるといえる)。このサンダーブレス・レストランのメニューには、ウォクタパスの触手だとかエルフのサラダだとかトロウルキンのハンバーガーだとか、実にすばらしいものが並んでおり、世界中のトロウルのあこがれの的となっている。ただし、人間にはお釣りをくれないそうなのでこのレストランで食事をするときにはトロウルの友人と一緒に行くのがいいだろう。

トロウルの戦

 トロウルの日常生活において、「食」とともに最も大きなウェイトを占めているものといえば、やはり「戦」であろう。ここでは、彼らの「戦」について話してみたいと思う。


 まず、トロウルの戦の相手、すなわち敵についてだが、これはやはり火と光の勢力及び混沌がまず第一に挙げられる。火と光の勢力については過去の因縁もあり、その仲はきわめて険悪であるといえる。とはいえ、混沌ほどではない。混沌こそは、暗黒の勢力の真の敵であり、混沌からグローランサを守ることが暗黒の勢力の存在意義だということも出来よう。したがって、混沌を倒すためならば、トロウル達はたとえ火と光の勢力とも協力することを厭わないだろう。


 通常、トロウルの軍隊はゾラーク・ゾラーンの「死の王」か「カーグの息子」によって率いられる。戦場におけるトロウルは極めて強力な戦士であり、他の種族にとっては重大な脅威となりうる(AH社のボードゲーム「ドラゴン・パス」では、サーターの騎兵が戦闘力5であるのに対して、トロウルは6であった)。彼らトロウルの戦法は、大きく2つに分けられる。1つは、敵軍との間に《暗闇の壁》を作り、壁越しにスリングで攻撃した後、おもむろに白兵戦に移るというもの、もう1つは、先にトロウルキンに攻撃させて(ゲーム的に言うと)FPとMPを消費させた後、トロウル自らが攻撃を加えるというものである。読者諸兄の中には、トロウルキン達を哀れに思う方があるかもしれないが、そんな必要は少しもないのだ。当然ではないか、憎むべき混沌や、太陽神を信仰するような輩に正義の鉄槌を下すためにトロウルキン達は自らすすんでその任に着いたに違いないのだから。そんな彼らを哀れに思うのは失礼というものだ。


 さて、トロウルの戦について最後に触れておきたいものに「混沌殺しの石」がある。これは、暗黒の神の一柱であるボスタカングが、暗黒の神々のルーンマスターに与えるもので、極めて複雑な魔術的過程を経て作られる。この石は、その色によって、混沌と戦う者にさまざまな恩恵をもたらす。中でも最も強力な「褐色石」は、ゴープを除く混沌を75%の確率で死に至らしめるいう恐るべき効果を持っている。


 この石を使って、あるいはトロウルキンの屍を乗り越えて今日もトロウル達は世界の平和のために混沌の勢力や太陽神の信者やエルフやドワーフと戦い続けるのである。

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というわけでトロウルと火の話です。


イェルムがオーランスに殺されて地界にやって来たとき、地界の原住民だった暗黒の神々(とトロウルたち)は侵略者を撃退するためにイェルムと戦います。ところが暗黒の神々はイェルム(といっしょに殺された天空の神々)に敗れ、そればかりかトロウルの豊穣神コラスティングは焼き殺されてしまいました。そのためトロウルは死すべき定めの生き物となり、さらに劣等種であるダークトロウルが生まれるようになりました。


つまり「火」というのはトロウルにとって「死」の力なのです。


イェルマリオから「火」の力を奪い、その力を操るゾラーク・ゾランが「死の王」と呼ばれるのはそのためです。


#ちなみにイェルマリオから奪った力は炎の精霊となりゾラーク・ゾランの信者にサラマンダーを召喚・使役する呪文を提供します。


地上で暗黒の軍勢を率いて戦った戦神アーガン・アーガーもロウドリルから「火」(の一部)を奪います。


そして「火」の力を使うことを禁止している神のうちカイガー・リートールとジオーラ・ウンバーは「豊穣」の神です。「死」の力である「火」を使うわけにはいきません。


ヒミールが禁止している理由はよくわかりませんが、ヒミールのもつ「寒気」のルーン(「暗黒」の下位ルーン)はよく見ると「火」の逆相のようにも見えます。


もちろんそれ以外の暗黒の神々(生物)も基本的には「火」を使おうとはしないでしょう。「火」は暗黒の神々にとって恐怖そのものなのです。