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地上における赤の女神(ティーロ・エスタラ)

女神の再誕


「ルナー帝国の歴史」から、「0ウェイン:地上における女神」をダイジェストでお送りします。

ST.1220年――この年、赤の女神はトーランの都に生まれた。七人の陰謀家たち、後に「七母神」と呼ばれる者たちによって、この魔法の儀式は執り行われた。


トーランの都のあるリンリディ地方は、この時代、多くのサトラップ(地方領主)が覇を競う戦乱の地であった。西には未だ強大なカルマニア帝国の圧政がひかれ、東方には力を増す騎馬遊牧民の絶え間ない略奪にさらされていた。

女神の誕生に先立って、3つの予兆があったという――“若きエレメントたち”が現れ忠誠の誓いを述べ、獣たちは歌を歌い、蜘蛛は巣を守った。女神の誕生の4日前、スポル領で行われた獅子狩りの儀式の最中に、カルマニアの戦神フマクトは不意打ちで傷を負わされ、儀式は失敗した。狩りからなんとか生き延びて戻ったスポル貴族は、同胞の死の原因となった女神を探し始めた。そのすぐ後、トーラン市は近隣の都市と共に女神を助けることを宣言した。


アーコス河畔の戦い(「ファースト・ヴィクトリーの戦い」と呼ばれる)によって、女神の寄せ集めの軍団と国家が確立された。女神はその地を「原聖地」(最初に祝福された地)と名付け、恋人を最初のサトラップ(サルタン)とした。0/6(1226年)、女神の軍団は隣国の侵略を「エレイユ・ハラーンの戦い」で退け、支配権を確立して領土を広げた。干渉への対抗と女神が領土拡大を望んだこともあり、女神はその支配に加わらないサトラップたちへの侵攻を開始した。

0/8の終りの聖祝期、女神は定命者の世界を離れ、ゴッドクエストに旅立った。


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二年後、カルマニアの王に四代にわたって仕える魔道士“赤髭”マーヘンドラスは、女神は「七つの牙と二つの顎に捉えられて去った、その領土は再征服されるだろう」と宣言した。英雄ヤーナファル・ターニルズは女神を救うために旅立ち、残りの七母神では「原聖地」を守り切ることは不可能だった。

カルマニア帝国の将軍は要塞化された地点に対し歩兵軍団を投入し、その指揮と魔術でからくも突破口を開いた。シャー・ウン族は歩兵としてはほとんど役に立たず、カルマニア騎士団はルナーの聖職者集団のものにまで達し、七母神の二人までもを殺したのである。だが、探索は完遂された。女神が現れたのはこの時であった。

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女神は“クリムゾン・バット”と呼ばれる魔物に乗って帰還した。魔物は混沌そのものから生まれた生物であり、物質界にあってもこの世ならざる力を保ち続けていた。定命の者がかつてかように混沌の生物を操ったことはなく、カルマニア兵はそのようなものの知識を持ち合わせてはいなかった。女神は彼らを蹂躙し、赴く場所場所におぞましい死をまき散らし、精神をねじ曲げる混沌の力に抗しきれない数多の者を発狂させた。

後世、この戦いは「混沌会戦」(のちに「第一回混沌会戦」)と呼ばれた。ルナーの圧倒的な勝利は、損失の後の平和の時代と赤の女神の力による栄光を確信させたのだった。


これがいわゆる「再誕の戦い」【the Battle of Reparture】。第一回混沌会戦を、ルナー側がいう美名でしょう。


で、この会戦で死んだ七母神は、ディーゾーラとジャーカリール。ダンファイヴは地界に逃げてて、ヤーナファルはヒーロークエスト中で、イリピーが死んだのはもっと後で、ティーロ・ノーリは女神に肉体を奪われているので、引き算ではそうなる。


そうするとこの時点では七母神は全滅に近いことになります。

カルマニア帝国の征服


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第一回混沌会戦(再臨の戦い)で主力軍団の多くを失ったカルマニア軍は、領土を縮小しながら兵力の回復に努めます。そのあいだに1235年には赤の女神と同盟した“皇帝”イェルムガーサを助けルナー女王国はダラ・ハッパを解放、その後もカラサル、オローニン地方を征服していきます。0/21(1241年)、カルマニアの首都ドールベリーで最後の会戦がおこなわれました。

カルマニアの神々は最大の力を持って戦うことにし、最古の祭壇が居並ぶ帝国首都(シャーダッシュ)ドールベリーを決戦の場に選んだ。軍は力を増す邪悪なる混沌と戦うと信ずる人々によって増強され、首都の前の大平原でルナー侵略軍の主力を待ち受けた。


ルナーの斥候部隊がカルマニアの前哨部隊と遭遇する前日、カルマニアの司祭(ヴィジール)たちに対して、赤の女神は巨大な“邪鬼”(カコデーモン)を送った。だが混沌の魔とその従僕たちは、巨大サソリの姿をした暗黒神、サッサール・オン・グロールに追い散らされた。


翌日、シャー・ウン族の騎兵がスポルとウォリオン、フロネラ同盟軍の騎兵を追い散らすと、四体の“若きエレメンタル”たちはかねてからの打ち合わせの通り、カルマニアの戦神であるフマクトの“意思”に攻撃をしかけた。だがフマクトは混沌のしもべと戦うべくその闇の力を呼び起こし、「真の戦士団」のアインヘルヤルが“若きエレメンタル”たちを世界の果てへ追い払った。


三日目の夜が明け、ルナー軍は集結したカルマニア主力軍の反対側に対峙した。カルマニアの神々の影のような姿が、カルマニアの軍団の上に浮かんで見えた。神々はそのすべての力を「暗黒面」に捧げていた。生命の光よりも、破壊の闇をというわけだった。カルマニアは「暗黒」の混沌に対抗する力を集め、敵国ルナーに最もおぞましい相をもって相対する準備を整えていた。


カルマニアでは「光」と「闇」の二つの相の神々を信仰していますが、このときはすべての力を「闇」の相に集中して神々を呼び起こしたということでしょう。
しかし、月は「光」と「闇」の満ちかけをもち、ルナー魔術師たちはルナーの力を「光」の相として呼び起こしました。これが「四本の光の矢」とよばれる力です。

ひとたび固定されるや、神々の相を変えることは不可能だった。カルマニアの暗黒相の神々は、月の力に自らをぶつけた。ルナー魔術師は、月の光のかすかな輝きの中に浸っていた中から第一の神を解き放った。これは“秘匿の支配者”イリピー・オントールであった。彼は「第一の光の矢」を放った。これは「光」の最も弱い相だったが、一斉に放たれた魅惑の力であり、カルマニアの強大な神々を惑わすのに十分な力を持っていた。また突如襲った幻覚の力は敵の弱い精霊や神々を殺すに足るものだった。だがイリピー・オントールは「天空の槌」に打ちのめされ、カルマニアの神々は前進を続けた。そこに「第二の光の矢」が襲った。


ちょうどその時、ルナー司祭団は強力な呪縛と惑いの魔術をカルマニア騎士団に放ち、精鋭をのぞいて足止めをするのに成功した。その精鋭騎士には「満月兵団」が襲いかかった。「第二の光の矢」は、カルマニア敵対する戦神、“激怒の使い手”ヤーナファル・ターニルズだった。彼はカルマニアの神々の王にまず襲いかかった。“最初の王”カルマノスは、攻撃の中で傷を負ったが、かろうじてヤーナファルをカルマニア諸神の中に押し戻した。カルマニアの神々はルナーの戦神と戦い、次々と殺された。ついにフマクト神がヤーナファルと相対したが、どちらも決め手を欠き、攻防は膠着状態に陥った。


正午に放たれた「第三の光の矢」は純粋な光の矢であり、これは“時代の行使者”にして“時の書記”であるカーナ・プールに制御されていた。カーナ・プールは「真実」の力でカルマニア諸神を追い散らすために世界に溢れる力を使ったのである。秘められた力を持たないカルマニアの神々は、続く総攻撃の前に散り散りとなった。


ルナー歩兵軍団はカルマニア歩兵に襲いかかった。だがこのとき突如アルティネーの半神がカルマニア軍の中に現れ、歩兵たちの指揮をとった。カルマニアの神々の敗北に気付き、戦場から逃げようとしていた兵士の多くは、この半神の犠牲により落ち延びることができた。


「第四の光の矢」は赤の女神自身によって放たれた。矢は女神の秘密のルナーの光であり、残る僅かのカルマニア神たちを襲った。神々の秘密の力は女神の煌きの光の前に消え去り、彼らは引き退くか、あるいは死んだ。


女神は勝利を祝って兵士たちにドールベリーの都を略奪することを許した。都は炎上し、今なお廃墟となっている。


この戦いにより女神そのひとによる大征服はほぼ終了した。ルナー軍はぺローリアの主だった勢力のほとんどを征服、あるいは同盟を結んでいた。


炎上したカルマニアの首都ドールベリーは「バーントウォール」と呼ばれ、現在は亡霊がうろつくといって地元のものも寄り付かない廃墟となっています。


青の城の戦いと帰還の舞い

「青の城」はオローニン湖の中に立つ「秘められし城」である。この城の住人はヴェス・エスディシと呼ばれる半神たちで、湖岸の住人たちと非常に友好的だった。ヴェス・エスディシたちは彼らに従う住人達を保護し、外部よりの侵略を退けてきた。


青の城の姫と結婚した者の中に、ハーラッシュ・ダービートというサトラップがいた。彼は「四本の光の矢の戦い」で戦死し、その子らは復讐を誓った。彼らの誓いは、湖の住人はもちろん、その魔術的な結びつきにより青の城の住人を巻き込んでいくことになった。


ドスカロス(のちの赤の皇帝)はこのとき初めて歴史に登場し、兵を率いた。赤の女神は力を増しつつある敵軍に対抗するため全軍を召集した。この中にはうちつづく戦いの中で半ば永久的な体を持つようになっていたクリムゾン・バットも含まれていた。


「古の神々」は青の城を最後の決戦の場所にすることにした。女神は征服地では世界に存在する権利を証明したが、古の道による試練を完遂しなければならかったのである。古の神々とその信者たちは、オローニン湖の上で行われた2年間に渡る戦いに突入していった。戦いの中では神話と現実の境界は消滅し、神々と定命の者たちは互いに戦い、血と信念に彩られた魔術的な戦場で命を落としていった。


ついに、古の神々は女神に膝を折り、女神を受け入れることを誓った。中には同盟を誓うものもいた。自然の秩序は「青の城の戦い」で引き裂かれ、平和が訪れた後に赤の女神とその力を含むかたちで宇宙は再び作り変えられた。


同じ部分を、『グローランサ年代記』はオーランス人視点から描いています。

青の城の戦いは、赤い月の女皇帝が神かどうかを決める戦いだった。もし女皇帝がすべての「大いなる盟約」の神々の仕掛けた厳しい試練に耐えきれないようなら、女皇帝は化け物だから神々の手で殺されることになる。試練を課そうと言い出したのはオーランスだった。


(中略)


女皇帝は詐術によって勝った。普通の戦の掟に従わず、普通の創造の掟に従わなかったから勝った。ありえないことが起こった。


いきさつはこうだ。


女皇帝には一人の息子がいた。この息子は一人だったが、いくつもの体を持っていた。女皇帝の体は一部一部は、生きているもののように動いた。女皇帝の影は女皇帝自身よりも強かった。影と見えたものは本物で、本物と思ったものは皆影だった。神をも打倒しすことのできるあらゆる手から、女皇帝はことごとく逃れた。


女皇帝も無傷ではいなかった。……そのはずだ。
赤の女皇帝の育ての母の一人は、その信徒にすら知られていない。……そのはずだ。
オーランス神自らが、この化け物を消し飛ばした。……そのはずだ。


それだというのに、女皇帝は勝った。矢も届かない崖のようにオローニン湖のまわりにそびえた波も、今は砕けた。城はわずかに身ぶるいしたかに見えた。そして赤の女皇帝と側近どもは華やかな祭に送られて戦の野をあとにした。


オーランスの体の深くには、女皇帝の付けた傷が残り、女はこの傷を通って秩序の世界に忍び込んだ。赤の女神はこうして女神となり、世界を再び混沌から守るのは、オーランスの持つ最後の秘密しかなくなった。


語られ方は違いますが、いずれにせよ赤の女神は「大いなる盟約」に挑戦し、勝利をおさめたことになります。
どうやら「青の城の戦い」においては、物質界と神界が境界をなくし、同時に重なっていたようにも読めます。


このようなイベントは他にも「太陽停止」「ドラゴンキル戦争」「恐怖の夜」などがあります。「太陽停止」のときにはナイサロールが誕生していますし、新しい「神」が生まれるには、大いなる盟約の停止が必要なようです。


こうして、赤の女神はグローランサに織り込まれ、「時」のなかで生まれた神となりました。
それが、いずれ英雄戦争を引き起こしていくことになるのです。


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