ルーンクエスト情報局

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クトゥルフ者的な新版ルーンクエストレビュー(翻訳)

​Ring Side Report- RPG Review of RuneQuest-Free RPG Day Productからの翻訳です。


このレビューの一番の特徴は、「昔のルーンクエストを知らない、クトゥルフ神話TPRG好きの人(第7版で日本で翻訳されているものとは版が違いますが)が、新版ルーンクエストをレビューしてみた」というところでしょう。


ある意味、非常に正直な内容になっているのでは?と思われますが、どのようなレビューなのでしょうか?


ルーンクエストグローランサの冒険」


製品:ルーンクエストグローランサの冒険 クイックスタート

システム:ルーンクエスト
メーカー:ケイオシアム
価格:無料

概要

情熱(パッション)に従え! 
ケイオシアム社の古典的ファンタジーRPGの改訂版では、プレイヤーは神々、怪物たち、英雄たちの地、グローランサにおけるヒーローを演じることになる。この世界は、すこしD&D的な古代ローマのように感じられた。詳細について見ていこう。


基本システム

ケイオシアム社のクトゥルフ神話TRPGのシステムをプレイしたことがあるならば、君の準備は整った。プレイヤー・キャラクターには多くの技能や属性値がある。何かをするときには100面ダイスを振り、技能や属性値以下を振れば成功となる。5分の1以下を振れば効果的成功、10分の1以下であればクリティカル。スマートだ。誰かと戦う場合、この成功度を比較するだけでいい。クリティカルは効果的成功に、効果的成功は通常成功に、通常成功は失敗に勝つ。引き分けの場合は防御側が勝つ。

情熱(パッション)

クトゥルフ神話TRPG第7版からの大きな変更は advantage die がないことだが、このシステムには「情熱(パッション)」のルールが追加されている。それぞれのキャラクターには大事にしているものがたくさんある。その愛によって、別の行動の糧とできる。パッションの値以下をロールをし、成功すれば試みようとする技能にボーナスを得ることができるのだ。成功の度合いが高いほどボーナスは大きくなる。失敗やファンブルでは技能にペナルティを負う。クトゥルフ神話TRPGのシステムへのスマートな追加ルールだ。

戦闘

クトゥルフ神話TRPGからは大きく異なっているところだ。行動するには何事にも時間がかかる。各ラウンド、プレイヤーは行動を選択し、GMに提示する。その後、GMは戦闘参加者の行動順を、時間がかかる行動ほど後にしてランクづけする。この際とることのできる行動は、移動、攻撃、呪文の詠唱、射撃武器の再充填、および12秒以内に実行可能なたくさんのことがある。行動にはもっと長くかかることもあるが、必要な場合には後のラウンドに回される。

魔術

このシステムの魔術はおもしろいミックスになっている。まず、1つではなく2つのシステムがある。「精霊魔術」は、だれでもマジックポイントを消費することで投射することができる基本的な魔術だ。この魔術は遅い。魔術を使う2番目の方法は、「ルーン魔術」を使うことだ。異なる派閥(訳注:カルトのこと)や宗教でレベルアップするごとに、新しいルーン魔術やルーンポイントを獲得できる。ルーン魔術は戦闘では早く投射できる上、やや強力だが、ルーン魔術用のルーンポイントは少ない。だから、いつルーン呪文を使うのかが、戦闘での重要なポイントとなる。技能の中には、セービングスローのように抵抗が必要なものもある。このシステムではすべての判定に%ダイス(100面ダイス)を使用する。


さて、レビュー!

ルールメカニズム嚙み砕き

この本の内容はみな好きだが、私にとって突出していることは2つある。総体的には、すべておもしろい。このシステムは「クトゥルフ神話TRPG」第7版と同じ基本「%システム」を使っている。もしルールをコピー/ペーストしただけだったら単なるごまかしなのだが、このシステムにはいろいろと追加があり、掛け値なしで、新しくてより良い再演のように感じられた。おもしろい。部位別HPも、このゲームのように手早く解決されるのであればイヤではない。プレイヤーは%ダイスもしくはダメージダイスと一緒にD20をロールするだけなので、システムを遅くしていないと思う。2つほど小さな不満点はあるが、1つについては修正ルールのようだ。第一は、クトゥルフ神話TRPG第7版から、penalty dice や advantage dice がなくなっていることだ。しかし、このゲームでは「情熱(パッション)」が追加されているので、「気持ちに相談する」ことで、成功率を増減させて同様のことができる。第二は、戦闘の順番だ。このゲームの戦闘はうまくできているが、私が慣れたシステムよりも、各ラウンドかなり複雑な行動を追跡する。プレイヤーは自分の行動を計画し、その行動は、より速い行動が優先された結果、変更される。リアルだが、少し重い。私の好きなイニシアチブの方法ではないかもしれないが、ただそれほど悪いものでもない。まとめれば、これは非常によくできた「%システム」である。(4.5 点 / 5点満点)

テーマあるいは背景設定

この本ではあまり背景設定は説明されていないけれど、収められているのはとても良い。すべてのキャラクターが望むならある種の魔術師や聖職者である、魔術と神々にみちた新しい世界である。異世界感があり楽しいが、「D&D/古代ローマ」的な雰囲気を感じるくらいには親しみやすい。もっと情報がほしく思い、夢中になっている。 (5点 / 5点満点)

結論

「フリーRPG・デイ」(注:アメリカで無料のお試しゲームが配られるお祭りの日)にしては非常に内容の充実した製品。非常に好きだ。システムはかなりうまく説明されている。キャラクターの行動宣言の順番について質問がある? しかし、無料RPG製品は完全ルールではない。カラーではないがイラストは素晴らしいし、シナリオの話もよい。無料にしては素晴らしい量だ。 (5点 / 5点満点)

まとめると

発売されたら私はルールを買うつもりだ。戦闘は楽しく新しく、プレイヤーを投げ込むための新しい世界。キャラクターはゲームに影響する動機としての情熱(パッション)を持つ。プレイヤーたちは、この短い本からルールとキャラクターについてきちんとした合理的な見通しを得ることができるだろう。私の好きなケイオシアムの%システムに、古代ローマ的な世界、そして驚くほどよく作られた本が、無料! 幾分わからないところがあっても、この本をよく読み込み、秋に発売される完全本を心待ちにしようと思う。