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ウーマスと嵐の裔たち

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 ウーマスは「嵐の父」としての名誉を与えられている。彼は「若き神々」の中でも最も偉大なものだった。最初の若き神々はニンフと神々の子との間に生まれた。小神と大いなる精霊との結びつきから生まれたものもあった。最後になって、最も偉大な神々の二柱、原初のエレメントの二つの交合が起こった。ガータはエーテルに覆われた――母なる大地は父なる天空と共寝したのである。彼らから生まれたのが、若き神々のなかで最も偉大なるもの、ウーマスだった。




 彼の誕生の物語は、ウーマスの関わる神話の中で最も重要なものである。誕生後すぐさま、彼は全ての神々に対して偉大な自分にふさわしい宇宙における居場所を要求した。しかしながら、世界にこの強力な神々が現れる前兆も予想もなされていなかったため、そのような場所は存在しなかった。不滅の者たちは自分たちの一部を他の誰かに与えるなどという考えは持ちあわせていなかった。ウーマスは怒って応えた。

 俺に名誉は与えられないのか?
 仲間ももてなしの食事もないのか?
 そいつは不正だ。お前をおとしめることだ。
 寛大はえらい。貪欲はえらくない。
 勇気はえらい。俺の力もえらい。
 お前が持ちものを隠すのなら、
 俺はひとつ、手並みを見せてやろう。


 そして彼は世界における自分の居場所を作るために立ち去った。ウーマスは大地をまたぎ越してその真ん中に立ち、地面に足をしっかりと踏ん張ると、両手を天空においた。それからあらん限りの力を振り絞って両親の間をこじ開けた。エーテルは妻から引き剥がされ、反逆的な息子に高々と持ち上げられて悲鳴をあげた。母親はその重さに悲哀のこもったうめき声を上げた。

 それからというもの、彼らの間にはウーマスの領域、乱流渦巻く大気の領域ができたのである。その息子は自分の領域を示すために、世界の中心にある彼の聖座を向き、内側に円をえがいて走り回った。こうして嵐のルーンの形が成され、また世界中の風は円を描いて動いているのである(その円は大きすぎて人間には理解できないけれども)。

 ウーマスは彼の後に活躍した5柱の息子たちがいた。どの神もそれぞれの形で父に似たところがあった。みな怒りやすく暴力的だが、どの神も先立つ神よりは洗練されていた。

 ウーマスの5人の息子たちは、生まれた順に、コーラート、ストーム・ブル、ヴェイドラス、フマクト、そしてオーランスであった。

嵐の神々

 数多の神々の物語を、第二期の神知者たちに好まれていたように、秩序立った(そしてしばしば恣意的な)順番に並び変えるといったことは、しばしば理解の手助けとなる。こうすることで、我々は荒々しく奔放なウーマスの力(それゆえ彼は最終的には鎖で縛られ抵抗を封じられねばならなかった)から、粗野ではあるが受け入れ易い族長オーランス――彼の第一の役割は宇宙の神々の王としてのものである――への、ゆるやかではあるが確実な嵐の神々の属性の発展を理解することができるのである。

嵐の神々

 大気は、神々の時代に生まれ世界を作り上げたエレメントたちの中で最後に現れた。それは原初の状態では――特に宇宙を非人格化してとらえたがる西方の魔道士たちには――「氣」(Aer=アイルランド語?)と呼ばれることもある。

 大気の神々の誕生は宇宙の生成にとって決定的なものとなった。その当時の神々は「黄金の時代」からより野蛮な状態への失墜だと述懐しているが、それは普遍的な平和の終わりと、宇宙全土における成長による変化の始まりとなった。西方セシュネラ人たちの哲学がより正鵠を射ているであろう。彼らは宇宙の問題は善でも悪でもなく、単に別種で必要なものだったと考えているのである。

 最初にやって来たのが、粗暴で単純なウーマスの時代だった。この時代、嵐の神々の暴力的な大成長の時代は、人の知る被創造領域を拡大していこうという欲望以外の人格も意匠も介在しない単純な創造神話として記憶されている。創造の結果として生まれたのは、実在よりはむしろ「もの」であった。この時代にコーラーティは生長し、大地と天空の空隙を大気で満たしたのである。ストーム・ブルの若き日の物語、特に彼が力や野蛮さをふるって、他の神々――しばしばストーム・ブルがカッとなったその場にいたという以外には罪のない神々――と戦ったのは、この時代のことだった。

 そして次にやって来たのが、「神々の戦い」の時代だった。ストーム・ブルはここでもいくつかの勝利を収めているが、彼は大地の女神アイリーサの力によって静められることもあった。ウーマスの三男ヴェイドラスは、暴力と勝利を次々とふりまいた。フマクトは世界中にその名誉ある破壊を示してまわった。オーランスは世界の揺れ動く諸力の最中を旅し、力と名誉を得た。この時代はまた、ウーマスが束縛され、ヴェイドラスが滅ぼされ、フマクトが「死」を発見して定命の祖父を殺した時代でもある。オーランスは「死の剣」を手に入れ、太陽神イェルムを殺害した。次の時代が始まった。

 「嵐の時代」は世界から光と熱が退行していった時代である。多くの資料の中に、光の神々の敗北の物語を見ることができる。嵐の神々の物語は大きく二つの部分に分けられる。「水の神々の敗北」と「兄弟間の戦争」である。また、暗黒の力に対する勝利と敗北も語られている。

 「大暗黒」はまた「恐怖の時代」とも呼ばれ、混沌が支配し、世界が無に帰す寸前となった時代であった。かつて勝利者だった大気の神々も、かつて敗った者たちのなかに加わり、神々の地位を永久に失ったものもまた多かった。オーランスは最も強力で信頼をおく友を集め、「光持ち帰りし者たちの探索」に乗り出した。

 「曙」の後、世界ではオーランスへの信仰が最も重要なものとなったが、他の神々も、特に人々に助力を与えた場所においてはまた尊崇されていた。

 大気の神々の生き残りは最強の指導者オーランスの臣下となった。彼らは歴史時代において最も重要な神殿を形成するのを助けたのである。その神殿は、オーランス神殿、あるいは光持ち帰りし者たちの神殿と呼ばれている。