「英雄たちの戦い」は、アーグラスがルナー帝国の赤の皇帝と直接対峙した最初の戦いであり、ハレックとジャ・イールという二大スーパーヒーローによる激突があった戦いです。
この戦いを、Jeff Richard 氏がドラゴン・パスを使って遊んでみたという記事がありましたので、翻訳をしてみました。
おそらく、発売が予告されている『RuneQuest Campaign』のクライマックスがこの「英雄たちの戦い」になる可能性が高いと思っています。
はたして、どのような経緯で戦いは進んだのでしょうか。
1628年の「英雄たちの戦い」について公式WBRM形式のまとめです。私はグレッグ流に、ボードゲームでプレイしてみました。
背景
1627年の赤の平原の反乱を鎮圧した後、赤の皇帝はルナー属領地の秩序を回復する時が来たと判断した。1628年、ルナー軍の中核は皇帝に伴ってファーゼストへ進軍した(ただし帝国軍とルナー魔術学院の大半は騎馬遊牧民とのトラブルに備えるため残されていた)。ファーゼストで、皇帝は一世代前のサーター征服を繰り返すことを命じた。
1628年の地の季、赤の皇帝と“剃刀”ジャ・イールがファーゼストに到着したことをアーグラスの密偵が知った。
アーグラスはルナー軍が増援を招集する前に攻撃することを決めた。彼は軍隊を集め、嵐の季にファーポイントから進軍し、交易人の谷を進んでルナー・ターシュ奥深くで戦いを挑むつもりであった。
ドワーフ渡しで、アーグラスの軍隊はスネークパイプ・ホロウから現れたブルーの大群と赤の皇帝が送った精霊に待ち伏せされた。ブルーの群れはアーグラスの魔術師たちによって追い払われたが、サーター自由軍の一部はファープレイスに留まることを余儀なくされた。
一方、赤の皇帝は軍を南東の「茂みが原」に進軍させ、そのままサーター中心部に進軍して反乱を一挙に終わらせるつもりであった。
ブルーを倒したアーグラスは、ドワーフ・ランを越えて「落ちる廃墟」まで進軍し、移動の週の水の日、廃墟の外でルナー軍と交戦した。
ルナー軍の軍編成
ルナー軍は3つに分かれていた。
前衛:
ターシュのファランドス王が率いるファーゼスト現地軍団。ヘクス 2316 に配置。以下のユニットで構成。
[精鋭騎兵団] 4-4-4-0
[第2ファーゼスト騎兵団] 3-3-4-0
[第3ファーゼスト騎兵団] 3-3-4-0
[第1ファーゼスト歩兵団] 3-3-3-0
[第2ファーゼスト歩兵団] 3-3-3-0
[バグノット歩兵団] 3-3-3-0主力:
これはジャ・イールとエルウリンが率いた。ヘクス 2215 に配置。以下のユニットで構成。
[ジャスパー・ファランクス] 5-4-3-0
[赤竜騎隊] 5-4-4-0
[アンテロープ槍騎兵] 5-5-4-0
[矢じり騎兵隊] 4-3-5-0
[月の矢騎兵隊](*) 4-3-5-0
[ジントーリ歩兵隊] 3-3-4-0後衛:
赤の皇帝が自ら率いた。ヘクス 2115 に配置。以下のユニットで構成。
[上級魔術師] 2-4-5-6
[下級魔術師1] 1-4-3-5
[下級魔術師2] 1-4-3-5
[下級魔術師3] 1-4-3-5
[流血隊] 6-5-6-0
[近衛歩兵隊] 5-5-3-0
[地獄の姉妹] 5-4-6-0
サーターの軍編成
サーター軍は2つに分かれていた。
左翼:
“黄金の歯の”ジャルドンが蛮族の群れを率いた。ヘクス2415に配置。ユニットにはブルーの待ち伏せによって混乱したものもあったが、部族の魔術師とポル・ジョニは無傷で戦闘に参加した。
[フラッシュジャック] 5-3-5-4
[アン・ジェイ] 5-3-4-3
[クリス] 5-3-4-3
[ポル・ジョニ族] 5-5-4-0
[ポル・ジョニ族] 5-5-4-0
[ポル・ジョニ族] 5-5-4-0
[ポター族] 4-3-5-0
右翼:
アーグラス、ハレック、グンダはサーター自由軍とサーター魔術協会を率い、ヘクス2315(落ちる廃墟)に配置。
[スネークパイプ・ダンサーズ] 5-5-5-5
[エッグロード魔術隊] 5-6-5-6
[イーグルブラウン魔術隊] 4-4-5-5
[ストームウォーカー] 7-5-20-12
[双槍] 6-5-5-0
[ブルロック隊] 6-5-5-0
[剣の兄弟団] 6-5-5-0
[コリマー部族] 3-3-4-0
[ツーリッジ農場] 3-3-4-0
戦闘
アーグラスは、ルナー魔術師が比較的弱体なのを利用し(下弦三日月の日で、ルナー魔術学院はまだほとんど再建されていなかった)、ジャ・イールを殺すために全力を投入することに決めた。
精霊魔術
物理的魔法はなく、代わりにサーター側から精霊が大量に沸き起こった。
蛮族の群れは、ファーゼスト現地軍団に対して大量の精霊を送り込んだ。MgFが9の精霊魔法により、[精鋭騎兵団] と [第2ファーゼスト騎兵団] は除去された。
サーター魔術協会は大量の精霊(非肉化した魔術師、精霊、エレメンタルなど)をルナー軍の主力に送りこんだ。MgFは20で、[赤竜騎隊] [矢じり騎兵隊][月の矢騎兵隊]は撃破された。
乱戦
ジャルドンと蛮族の群れが属領地軍に襲いかかる。CF 19で、[第1ファーゼスト歩兵団] と[第3ファーゼスト騎兵団]を撃破。しかし、勇敢な防衛軍はジャルドンの現在の化身を殺すことに成功した。
ルナー軍主力に対し、サーター軍がCF50!で攻撃。ジャ・イールは殺され、ヒーローの脱出に失敗。[ジャスパー・ファランクス] も撃破される。残った[アンテロープ槍騎兵]と[ジントーリ歩兵隊] は、エルウリンがヒーローの脱出。サーター側は[ブルロック隊]が撃破される。
戦後
ルナー軍は[赤竜騎隊]、 [矢じり騎兵隊]、[月の矢騎兵隊]、[ジャスパー・ファランクス] 、[精鋭騎兵団] 、[第2ファーゼスト騎兵団] 、[第3ファーゼスト騎兵団]、 [第1ファーゼスト歩兵団]を失った。さらに悪いことに、“剃刀”ジャ・イールを失った。これはシェン・セレリスの時代以来、ルナー軍の最悪の敗戦であった。
サーター軍は、[ブルロック隊]とジャルドン(新たに召喚する必要がある)を失っただけで、犠牲者はわずかであった。
赤の皇帝はファーゼストへ退却した。皇帝は[バグノット歩兵団]と[第2ファーゼスト歩兵団] をバグノットに残した。
アーグラスは追撃してバグノットを攻撃したが、ファーゼストへの進軍はならなかった。ハレックが黒馬領を攻撃する約束を思い起こさせたからである。こうしてサーター軍は無傷のままダンストップに進軍した。アーグラスは両都市に駐留した後、グレイズランドに向かい、ミューズ・ルーストに対する名高い作戦を開始した。
グレイズランドでアーグラスは羽馬の女王と出会い、求愛し、彼女のために仲間を派遣して試練を遂行させた。“白き雄牛”(注:アーグラス)は羽馬の女王の魅力と策略にほだされたという。
一方、赤の皇帝はファーゼストに留まることなく、ミリンズ・クロスに逃げ、さらにグラマーに向かった。聖祝期の儀式で、皇帝はグレートシスターに殺害され、「ルナー内乱」が始まった。
大局的に見れば、ルナー帝国は明らかにアーグラスを見くびっていた。1602年来のサーター王国の「伝統的な反乱」への対処にすぎない(英雄の1人や3人はいるかもしれないが)と考えたのである。ところが、帝国軍は魔術部隊によって完全に劣勢に立たされた。そして赤の皇帝はエギに責めを負わされ、供物とされたのである。
※※※※
なお、『アーグラスのサガ』における「英雄たちの戦い」の記述はおおよそ以下の通りです。(『グローランサ年代記』p.36)
- スネークパイプホロウからブルーの部隊、南のラーンステイの足跡からは混沌が襲った
- ルナー軍は1万の兵士
- ジャ・イールが参加
- サーター側はアーグラス率いるサーター自由軍とハレック、グンダが参加
- アーグラスは「コリマーの黒い槍」を使った
- 戦場は「バグノットの街の近く」
- ハレックとジャ・イールが戦い、ジャ・イールが殺された
- 人狼との戦いがあった
- 羽馬の女王と結婚したのち、アーグラスはターシュに侵攻した
- ターシュ王は“詩人”オンジュールだった
お分かりの通り、上記の記事の内容とかなりの齟齬があります。(また黒馬領への侵攻は「英雄たちの戦い」の前になっていたりする)
このあたり、どのような「歴史の改変」があるのか、楽しみなところですね。